歯ぎしりや歯のすり減り、なかなか治らない歯茎の出血や腫れ、入れ歯などの不調は、多くの場合噛む力が強すぎることが原因です。
当クリニックでは、歯を食いしばる力を弱める方法として、ボツリヌス注射を推奨しています。
美容に近いイメージの治療ですが、歯科治療の一環として行われており、女性は元より、パフォーマンスを重視する男性ビジネスマンや入れ歯の嚙み合わせが気になるシニア層の方にも多く行われています。
ボツリヌス療法とは?
ボツリヌス菌から抽出される、神経に作用するタンパク質の一種(ボトックス)を注射し、その部分の筋肉を柔らかく緩めた状態にすることにより、強すぎる食いしばり、歯ぎしり、顎関節症などを改善させる治療方法です。ボツリヌストキシン治療とも呼ばれています。
ボツリヌス療法の効果
歯ぎしり・食いしばりの改善
「噛む」という行為は無意識に行われているため、自力で弱くすることは出来ませんが、咬筋にボツリヌスを注入することで緩和させることが可能です。
歯ぎしり・食いしばりの改善の他にも、ガミースマイル、咬筋肥大・エラの張り、あごの梅干しシワなどの改善が期待できます。
ボツリヌスの副作用・禁忌
ボツリヌスは比較的安全な治療とされていますが、以下のような副作用が出ることが稀にあるようです。ただし、これらの副作用はほとんどの場合1週間~4週間以内には自然回復します。
- 内出血による青あざ
- 注射による内出血。血液凝固阻害剤を使用している患者様は特に注意が必要となります。
- 新たなシワ
- ボトックスの量が多すぎるとその周囲にシワが出来ることがあります。
- アレルギー反応
- 僅かですが、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の発症例が報告されています。
ボツリヌス治療が行えない方
現在までに、以下に該当するの患者様においては安全性が確保されておらず、使用が出来ないとされています。
- 妊娠されている方
- 安全性がまだ確率されていない。
- ボトックスに過敏症のある方
- 全身性の神経接合部の障害を持つ方
- 症状を悪化させる可能性がある。
- アミノグリコシド系やポリミキシン等の抗生物質を服用されている方
- 65歳以上の方
- 臨床対象者に65歳以上の患者様が含まれておらず、それ以上の年齢層での使用はお勧め出来兼ねます。
- 精神科で治療中の方
- 精神的な問題を抱えていることもあり、お断りしています。
- 皮膚病や感染・炎症がある方
- 心臓や血管の病気にかかっている方
- 不整脈や心筋梗塞の予防薬を飲んでいる場合は、主治医の許可が必要になります。
- 膠原病方・自己免疫疾患の方
- 抗原抗体反応に関わってきますので、主治医の許可が必要になります。
- 神経筋疾患にかかっている方
- 神経内科・脳外科の主治医の許可をお取りになってからの治療になります。
- ナッツ(ミルク)アレルギーの方
効果継続期間
美容目的でボツリヌスを使用する時と同じく、歯科目的で使用する場合も効果は3か月~6か月程度持続すると想定されています。
効果が無くなる前に再度ボツリヌス療法を行うことが理想的ですが、歯ぎしりなどの習慣的な症状は数度のボツリヌス療法で解消できることもあります。
また反対に、ボツリヌス療法を何度も行うことで効果継続期間が短くなってしまう事もあります。
治療の流れ
- カウンセリングと行い、患者様のお悩み、噛む力、口元の状態をチェックします。
- 気になる箇所に注射を行います。通常約15分程度で終わります。
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治療後、定期健診とアフターケアを行います。
3か月~6か月程度効果がありますが、定期的に注射をすることでより効果が持続します。
ボツリヌス治療のよくある質問
- ボツリヌス療法は痛いですか?
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数か所に注射をするため、ある程度の針刺入の痛みはあります。
当クリニックでは、痛みを抑えるために表面麻酔を使用し、痛みに弱い方でも安心して治療を受けていただけるように配慮しております。 - ボツリヌス中毒になることはありますか?
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ボツリヌス菌は食中毒を引きおこす菌として知られていますが、ボツリヌス療法はボツリヌス菌そのものを注射するわけではありません。
十分に精製したボツリヌス菌を使用する、身体に害のない安全な治療です。 - ボツリヌストキシンにはどんな副反応がありますか?
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針のあとが点状に残ったり、皮下出血を起こしたりすることがありますが、この反応は一時的で、お化粧で隠せる程度のものです。
稀に、一時的に軽い頭痛を伴うことがあります。 - 治療してからどのくらいで効果が出ますか?
- 個人差はありますが、通常3日~1週間程で効果を実感いただけます。
- 1回の治療でどのくらいの量を投与するのでしょうか?
- 咬筋の状態、被せもの等に金属を使用しているか、虫歯治療の際に神経を抜いているかどうか(レントゲンを撮って確認)、噛んだときの頬の出方など、患者様によって投与量は異なります。